そろそろこれと向き合っておかないとなあ、と思います。
10年以上前に、今まで見たことのないモチーフと迫力に圧倒されて、私の心に非常に多大なインパクトをもたらした作品でした。

- 作者: 森生まさみ
- 出版社/メーカー: 白泉社
- 発売日: 2008/09/12
- メディア: 文庫
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以下閉じます。
〜〜買って来た時点で書いた呟きを先に入れておく。
森生さん、こういう緊迫感のある話を、けっこう数描いていたのね。1冊きっと統一感はあると思う。作者コメントがゼロっぽいのがつまんないけども。
森生さんに関しては、最近のほわほわしたのとか、単行本の刊行点数が多いせいで代表作ということになってるテンションの高いコメディくらいしか知らない人には、絶対にこの本を読んで欲しいんだよね。で、驚いてどんな感想を言うか書くか見ものだわーうふふ*1。
まあ、ひとの驚く顔を見たいあまりにやったことが、自分に対するダメージに繋がってくることはあるので、リラックスしてもいられませんけれども。
私の場合、森生さんに関しては、実力があるのは認めるけれども、すごくツボに合う作品ばかりかというと、実は嘘になったりする*2。
でも、今回発売された作品の、企画力というか発想力や、今LaLa本誌で1,2ヶ月おきに掲載してる作品*3で見せてくれる、画力や表現力なんかを見ていると、本当にすごいと思えるのだな。
そういえば、例のコメディふたつって、刊行点数が多かったり、個人的な理由*4で断片的にしか読んでない、という、こちらも批判されても文句が言えない部分はある(買ったLaLa本誌やDXにたまたま載ってたという理由で1話だけ読んだこととかはあるんだけど。そういえば「聖・はいぱあ警備隊」で、女の先生が仮面つけてバレバレなのに暗躍する、なんて話を読んだ記憶があるかもしれない)。
〜〜成長からくる変化による後悔
発売直後の夜(本年9月13日深夜)の初読時点で書けたことをメモにしたものにところどころ加筆したものを、まず載せます。
- - - - - - - - - - キリトリ - - - - - - - - - -
13〜14年ぶりの再会。
だけど。
昔と同じ気持ちでは読めなかった。
「こんなはずじゃなかった」とは言わない。
変わったのは私だから。
それは当たり前。
それはわかってる。
ただただ迫力に圧倒されてたのかな、とか、昔の自分を思う。
他は初読だったせいか……それでも変に冷静に読んでたかなー。
- - - - - - - - - - キリトリ - - - - - - - - - -
とりあえず表題作から。
タレントの麻里ちゃんには「文句ばっかり言ってないで工夫しろ考えろ」という意見がくるだろうなー、と思ったし。でもって、彼女をうるさいと言う電気屋・藤堂の方に共感できたしさ(苦笑)。同じ現場にいたら本当に彼と同じことが出来るかはわからないけれど。
麻里ちゃんが浪人の小西くんにつっかかってるのは、テレビに出てそこそこ売れてる自分を知らない若い男の子が自分に無関心、というのがムカついた。というのはわかるけど。
終盤で彼女がした提案が、ラス前のページですごく生きてたのは良かったです。これはちょっとスッとするね。
先に古本屋で見つけて読んだ方のご意見に「脱出にページ数割かれた分森生さんの持ち味がちょっと薄いかな」というのがあったんですが。
今回の私はこの時点で、犯人についてもう少し読みたかったと思いました。
脱出したメンバーの中にいたリカちゃんという幼児が犯人の孫? という部分、あれってやっぱりそうなんだろうなー、とは思いましたし。
藤堂さんの彼女もさほど好きなタイプでないしなー。
そういえば途中で「看護師」になってたけど(以前はこれ変換キー押してても変換されなかったんだけどねー)、この頃まだこの言葉って、普及はおろか出てきても無かったんじゃないかしら、と思ったり。
ホントは再読してみないと見えない面あるはずなんですけどね。
麻里ちゃんがかけてたサングラスってこの何年後かにナカタモデルとして流行るタイプでない? とか(笑)。
うーん、変なとこばっか見てるわ。
ところで実は、いちばん先に読んだのは、3番目に掲載されている「起死回生のマリア」だったんです。
恋敵の男性が良いひとで好き。
これは、刺されてしまったヤンキー風の男子高校生が、刺された時に一緒に救急車に乗ってくれた看護学生に恋をしたことから始まるお話。女子看護学生が彼より1歳年上なので(表題作の麻里ちゃんも小西くんより3歳上やなw)、森生さんテイストは出てるのかな?
どうも50枚×2回の前後編で掲載されたみたい。この掲載形態に妙な懐かしさを感じるのは気のせい?
掲載順は2つめな「7人目は笑う」について(やや苦手そうな空気を感じたので最後にしたの)。
こちらは。
学校で校舎に居残ってた生徒6人が取り残された! その場に居合わせた生徒達が団結し合い淡い恋も育み、その中にも更なる危機が、というお話。
こちらのキャラの方が好きかな。「ハチマキくん」が明るくて可愛いし。関西弁の図書委員さんがなかなかのインパクトで(普段少女漫画を読まないけどコアな漫画読みだという方向けに注意書き:このキャラクターに、「あずまんが大王」の大阪みたいなのは断じて期待しないこと。コンクリート・ノイズだとその種のテンプレ感はやや期待できそうですが)。
ひょっとするとこちらのが好きかも知れない。今の段階では。
中盤で提示された恐怖の原因が明かされる場面。それの伏線にあたりそうな場所は、2回目流して読んでたらとりあえず1箇所探し出せた。けっこう意外だった。
「アンラッキー・ショウ」これだけページ数が少なくて40枚。
これは、免許取立てで彼女はいるけど車はないという大学生が、兄ちゃんの車をくすねて遊びに行ったら人を轢いちゃった? というところから始まるお話。これが掲載年代いちばん新しいみたい。
主人公が空想してる場面にやけにページ数割かれてたなあ(苦笑)。
1箇所、お兄ちゃんが言っていることがおかしくないかよく見極めなきゃいけないシーンがあるけど。
なにかバチが当たったかな?(かなりおかしなことにこの本を利用しようとしてたのかもと思えてしまったので)
自分が感じた感覚に対しては「こんなはずじゃなかった」と一応思ってないけど、この本に期待した効果が、果たせる可能性が低そうな気がしていることに関しては「こんなはずじゃなかった」な部分があって。
そんな気持ち。
〜〜10月15日午前2時15分の気持ち。
まずは上で加筆しかけてこっちに移した文面から。
この本に載っているような、80枚や100枚の長い読みきりや、50枚×2回の前後編という掲載形態というのは、最近見かけなくなった気がするんですよ。私は増刊をあまり読まないのですが。そういえばベテランでも経験がないひとがいたかもしれないな。
あと、うちの弟にこの漫画の話をしたところ、「スケールが大きそうで男性に人気ありそう」と言った。それは考えたことがなかったな*5。
藤堂さんと彼女の富士子さんがなんともメロドラマな設定で(ベタなんでしょうか)。
事件が勃発する際の迫力とかは本当に凄いや。
これが書かれた1994年って、携帯電話の普及率は今よりはるかに低いし、だいたい地下3階では……やっぱり難しいよなあ。
あー、このふたりって付き合い始める時に女性が八百屋お七になったんか*6。
この90年代前半ってヤツは「アイドル冬の時代」ってヤツもかぶってるよなー、とか思い出しちまいますしね。
去年あたりから「根拠のないポジティブさ」というのを信用していない私ですが、ここまで極限の状況に来ると麻里ちゃんのような根拠のなさでもすがりたくなってくるかな、勝利の女神かな、と思えたりして。
再読して気付いたが、犯人サイドの心情は少し出てくる。どうも、デパートの会長との戦時中の因縁らしい*7。
「名前も戸籍もない生きた亡霊」……。
麻里ちゃんと小西君の繰り広げる会話はラブコメ成分担当ってところかなー。
リカちゃんと犯人と、巻末収録のおまけ漫画。スッキリしなかったはこのあたりかな。
「7人目は笑う」。鍵になるモノローグはP.157、「覚えてないのに 覚えてるなんて ヘンね」。
再読するとキーポイントはいくつか見つかる。
これから創作物を読んでいて「えーっ!」と思うような驚くファクターに出会ったら再読してキーポイントを探そう。
そう思ったお話。
ひとり凄く酷なことになったよなあ……。と思う。
あと、最終盤のノリはちょっと「ホーム・アローン」?*8
そろそろ眠いかなと言うのと、この日の分の字数制限が心配なので*9、いったん切ります。ごめんなさい。
〜〜最後にみっつ(2008.12.1夕方)
「起死回生のマリア」と「アンラッキー・ショウ」についてひとつずつ書いてこの本の話は終わりにしましょうか。
P.248 このメガネっ娘なヒロインちゃん、ズレてるような。だって「血出てないから気づくのが遅れた」って(汗)。まあ、命の恩人の顔を覚えてない方は……だからちょうどいいの? 非常時で気絶しかかってたし?
P.305 大学に行ったことがないのに、「一般教養課程」という言葉の意味がぼんやり見当ついてる私は、ただの活字中毒でしょうかね。
P.353 このページの兄ちゃんのお説教は、両方を聞いて言う通りにしていたら身動きが取れなくなりそう。というわけで嫌いだ。
彼のキャラクター自体も嫌いかもしれない(私、男性に関しては、顔が良くても嫌だというケースはいくつかありますね)。
どうもすみませんでした。これもちょっと肩の荷下りたかな?
*1:実はこれは、こういう発想を抱かせる原因をつくった人物が実際にいるんだよ
*2:熱心なファンの皆さんごめんなさい。でも描く作品全部が全部、自分のツボに合う作品ばかりという作家も漫画家も、あたしにはひょっとしたらひとりもいないかもしれないんです。たとえば吉住渉だと「ミントな僕ら」がどうもひっかかってしまった作品だった→原因は未だ不明
*3:タイトルは「きゃらめるBOY」。16歳の女の子と、幼なじみの12歳の男の子のお話デス。私は最初に森生さんを読んだのは高校生の女の子に4,5歳年下のしっかりした感じの男の子が絡む、というこちらと似た設定のお話でした。興味を持ったきっかけは山田南平の「オトナになる方法」だったりする
*4:どちらの作品も、終わる頃、私は少女漫画からやや遠ざかり気味だった頃だった記憶がある
*5:今後は、「男性向け女性向け」と言うよりは、過去にこういうものを読んでたようなタイプが好きそう、という理由で対象読者を決めていった方がいいような気もする。多数派に入れなくてもしょうがないから。アタシなんか今はどこへ行っても蝙蝠な気がするし
*6:『前に会えた状況と同じ状況を作る』という点がそう。ここでは『エレベーターの敷居溝にブローチを落とす』で八百屋お七は『火事を起こした』
*7:「戦後50年」イヤーを翌年に控えてたしねこの頃は
*8:パート3だけテレビで見たのかな?
*9:制限ないわけなかろうからね