「ざれごと寝言大事なこと」日記#6

西山香葉子という同人者の本性がわかる? ぺーじです。

積んでた本を今更——変えてゆく勇気

当ブログが、はてなダイアリーで始まった頃からご存知の方には、この本をこんなに長いこと積んでいたことに驚かれる方もいるかもしれないか。

性同一性障害を公表して世田谷区議選に出馬し、1期を終えようという頃に出版された本である。自伝と体験、理念と実績が書かれている。
自伝のあたりだけチラチラ読んでいたが、引っ越しの可能性が高い今日、手放す前に読んでしまおうと思って手をつけた。

ハッとしたのは第5章、実績が書かれているあたりである。
オストメイトについて。

前職で、埼玉県某市の公共施設で清掃作業をやっていたのだが、多目的トイレで、勤務の最初謎の水道があった。
それを、排泄物を捨てるためのものだと教わってはいたが、この本のこの章を読んで、どういうことか更にわかったのである。
発行された購入した当時から、ここで勤務を始める頃までに8年以上経っていたのだから、職に就く前に読んでおくんだった、と後悔した。苦手意識が強まったので2度とやりたくない仕事だし。
ちなみに、この次のひとり親家庭のあたりから、漢字が多くて硬い気がしてくる。

他にも、失語症、聴覚や視覚障害など、そういったマイノリティに寄り添う視点で綴られている。それらの他のマイノリティに触れた後で、最終章では再び性的少数者の問題に触れている。
人間、何においてもマジョリティな人っていないよな、あと、人生長くなると近い人間が障害手帳持ってたりするよな、もっと言うと当人が期間限定で持ったりするよな、とか考えながら読んだ。聴覚障害についての項では、離れて暮らす父親に想いを馳せた。

自伝部分を読んだだけでは、わかりやすく女性らしい人だなあ、というとっかかりしかない(選挙を手伝ったらしい某トランスさんが、上川氏が大食いちゃんであることを暴露していて、これは好感を持って受け止めたが)ひとだったが、ここまで積んでいたことを後悔している。
その間に、今では性同一性障害は病気でなくなったとか動きがあったから、さまざまな障害や性的少数者問題は時代に合わせてアップデートしなくてはならないが、多様性を考える、社会問題を考える基礎にしてはどうだろう。参政権以外の政治参加方法も、法律がどのようなひとたちを辿って出来ていくプロセスもよくわかる。まあこの辺も、向こう20年で変わるかもしれないけど。

とにかく、意味のある本だった。
今、著者の上川さんは、確か5期目の筈。
何を思っているか、変わったところ、変わらないところを伺ってみたい。